防ぐより、共存する|イヤーマフが苦手な私の、音とのつきあいかた
イヤホンやイヤーマフでしっかり音を遮断していると、なんだか落ち着かない。そんなふうに感じたことはありませんか?
わたしもそのひとりです。
音の刺激を減らしたくて遮音性の高いアイテムを使うと、かえって不安や緊張が強まることがあります。まわりの気配がわからなくなり、周囲の変化に過剰に反応して、落ち着きがなくなってしまう。
そのような経験から、遮音性の高いアイテムを活用できないなりに、できる範囲で聴覚過敏と付き合っています。
イヤーマフやイヤホンは、聴覚過敏における王道かつ最強の装備です。
高い防御力を誇り、音のダメージから自分を守ってくれる心強い装備。
もし、その最強装備を身につけられなかったら、どうやって音のダメージと対峙すればいいのでしょうか。
この記事では、遮音性が高いアイテムが苦手な人に向けて、代わりのアイテムを使う中で感じたことや、聴覚過敏とのつきあいかたを紹介します。
イヤーマフやイヤホンが苦手な人が、少しでも安心して過ごせるヒントになれば幸いです。
聴覚過敏なのに、
遮音すると落ち着かない?
聴覚過敏の対策としては、音の刺激を減らす方法がよく知られています。
しかし、遮音性の高いアイテムを使うと、かえって落ち着かなくなる人も。
ここでは、その理由を3つの視点から見ていきましょう。
静かなのに、なんだか安心できない
聴覚過敏の対策としてまず思い浮かぶのは、できるだけ音の刺激を減らすこと。
症状の程度や好みにもよりますが、イヤーマフやノイズキャンセリングイヤホンを使うことで、効果的に音の刺激を減らせます。
一方で、遮音性の高いアイテムを使うと落ち着かなくなったり、不安を感じたりする人もいます。
聴覚過敏なのに、しっかり遮音するとかえってつらい。
そんな矛盾を抱えてしまう人は少なくありません。
音は安心を感じ取るための手がかり
聴覚は音を聞くためだけの感覚ではありません。
車の走行音や話し声、風の音などを通して、まわりの状況や気配を無意識に感じ取っています。
このように、聴覚には音を通して安全を確認する仕組みがあるため、音という手がかりがない状態になると、不安や緊張を感じることがあるのです。
遮音性の高いアイテムを使用したときに落ち着かなくなるのは異常ではなく、まわりの変化を確かめようとする自然な反応です。
イヤーマフやイヤホンが苦手
だからこそ、音と共存する
聴覚過敏の人にとっては、ささいな音も刺激になりやすいもの。
一方で、しっかり音を遮ってしまうと周囲の変化を感じ取れず不安が増すという、相反する状態になりがちです。
遮音性の高いアイテムが苦手な人は、音を減らしつつ、まわりの音を感じ取れる状態が、安心できるのではないでしょうか。
それが、音と共存していくための第一歩になるのではないかと感じています。

遮音ではなく共存
LOOPイヤープラグで見つけた
ちょうどいい音との距離感
LOOPイヤープラグは、わたしが聴覚過敏とつきあっていくのに欠かせない装備です。2019年ごろに販売されていた約20dbの半減効果があるモデルを使用しています。
周囲の音が少し離れた場所から聞こえる程度の軽い遮音性で、イヤホンやイヤーマフを使ったときのような緊張感はありません。
ここでは、LOOPを実際に使って感じたことと、使いかたの工夫を紹介します。
なんとなく試してみたLOOPが
ちょうどよかった
聴覚過敏の症状が出てすぐの頃は、一般的なイヤホンとスマホで好きな音楽を流して、まわりの音をマスキングしていました。
苦手な音は耳に入りにくくなるけど、まわりの音がわからなくてなんだか落ち着かない…。
そこで、何かいい方法はないかと探していたときに、LOOPイヤープラグという新しいタイプの耳栓を知りました。
つけたまま会話ができて、価格も手頃。最初の対策として試しやすいと思い購入しました。
そのあとにイヤーマフも購入しましたが、しっかり遮音してくれることもあり、かえって緊張してしまいました。
現在は、雷や花火など、大きな音が鳴り続けるときに使用しています。
音をなくさなくてもいい、
と気づいたとき
聴覚過敏の症状が出た日のことを今でも覚えています。
駅の構内やショッピングモールの中で、家族と会話ができなくなりました。
何かを話しているのはわかるのに、言葉として入ってこない。家族が話していることが何も理解できない。全部の音が同じ大きさで聞こえる。
一瞬、自分の頭がおかしくなったのかと思いました。
その後で聴覚過敏のことを知り、当時はできるだけ音をなくせば楽になると思っていました。
LOOPを試したのも、半信半疑。
人混みの中でLOOPをつけたときの、一気に音が遠のき、混乱から戻ってきたときの安心感は、今でもはっきり覚えています。
音が少し遠ざかるだけでほっとして、家族が何を話しているのかもちゃんと理解できる。そのときはじめて、音をなくさなくてもいいんだ、と気づきました。
環境や体調に合わせて
日常に溶けこむLOOP
一度携帯するのを忘れてつらい思いをして以来、いつもバッグにぶら下げているLOOP。人混みや駅のホームなど、自分にとって負担が大きい場所ではすぐつけられるようにしています。
また、家の中でも「今日はちょっと過敏だな」と感じる日など、まわりの環境や体調に合わせて使っています。
軽くてつけ外しもラク。充電もいらない。わたしにとって、LOOPは日常になじむ心強い味方になりました。
LOOPのような軽い遮音性のあるアイテムは、音を少し遠ざけて、過ごしやすい日常をサポートしてくれます。
イヤーマフやイヤホンが落ち着かないという人にとって、聴覚過敏とうまくつきあっていくきっかけになるかもしれません。

聴覚過敏とつきあうための
わたしなりの工夫
聴覚過敏の症状は、体調や外的要因にも左右されやすいものです。
日々を過ごしていく中で、聴覚過敏とのつきあいかたが自分なりにわかってきました。
ここでは、わたしが大切にしていることを3つ紹介します。
自分の苦手な音と
なんとかなる音を知る
LOOPで音を遠ざける体験を通して、無理して遮音性の高いアイテムを使わなくてもなんとかなるかも、と気が楽になりました。
そこで、改めて自分の聴覚過敏と向き合うことにしたのです。
それからは、どんな音が自分にとってダメージが大きいのか、どの程度なら許容できるのかを意識するようになりました。
突然の雷は何をしても大ダメージです。予想もできないし、とにかく音が大きすぎる。
このような大きな音に関しては、音によるダメージのほうが大きいので、イヤーマフを使います。
他の感覚過敏の影響も受けやすい人混みや駅のホームも、対策なしで行くと大混乱です。
もう行けないかも、と思っていた場所ですが、LOOPをつけるとなんとか許容範囲に収まってくれます。
それでも疲れはするのですが、混乱していたあの頃よりはずっとましです。
自分の苦手な音と許容範囲を知ることは、日常の中で具体的な対策を考えるのにも役立っています。
その日の自分に合わせて
ゆるくつきあう
聴覚過敏のつらさは、日によって違います。同じ環境でも、体調や睡眠、気圧の変化によって感じ方が変わることがあります。
今日はしんどいから、静かな部屋でゆっくり休もう…。
今日はわりと平気そうだから、思い切ってショッピングモールに行こうかな。
その程度のゆるさで、その日の状態に合わせて過ごしかたを変えています。
聴覚過敏だからと対策にこだわりすぎると、かえって疲れてしまうことがあります。わたしも、少し神経質になって疲れきっていた時期がありました。
その日の自分に合わせて対応する柔軟さも、聴覚過敏とうまくつきあうのにかかせないことかもしれません。

音とのちょうどいい距離は
人それぞれ
以前は、家族と一緒にTVやYouTubeを観ていて、音がしんどいなと思っても言い出せませんでした。
LOOPをつけるのも嫌味っぽいかなと思ってためらっているうちに、番組を見ること自体が嫌になってきたのです。
そこで、家族に「最近聴覚過敏がしんどいんだけど、一緒に観たいんだよね。音量はいままでと同じで大丈夫なんだけど、耳がしんどいときはLOOPをつけてもいい?」と話しました。
相手にとっては自然な音量なので、わたしに合わせてもらうのも、なんか違うと感じていました。
そのままの音量で観てもらいながら、自分ができる対策をとるほうが、気持ちも楽。それが、わたしにとってのちょうどいいラインだったのです。
音との感じ方やちょうどいい距離感は、人によって違います。
聴覚過敏の人もそうでない人も、お互いが心地よく過ごせたら、それはひとつの安心につながるのではないでしょうか。
受診目安
症状が強く、日常生活に支障が出ているときは専門医への受診を検討してみてください。
感覚過敏の原因はさまざまで、意外な原因が隠れていることもあります。受診して原因を特定したうえで、感覚過敏とうまくつきあっていきましょう。
詳しい受診目安については、こちらの記事をご覧ください。

まとめ
イヤーマフやイヤホンが苦手でも
聴覚過敏とつきあう道はある

遮音性の高いアイテムを無理に使わなくても、聴覚過敏とそれなりにつきあっていけるのかもしれない。
そんな思いで、軽い遮音性のあるLOOPイヤープラグを使ってみたり、その日の体調に合わせて対応したりしながら、聴覚過敏とのほどよいつきあいかたを探してきました。
この記事では、軽い遮音性のあるアイテムを使うなかで感じたこと、聴覚過敏とうまく付き合っていくための考えかたを紹介しました。
イヤーマフやイヤホンなどの、遮音性の高いアイテムが苦手な人の参考になれば幸いです。
聴覚過敏における対策の合う・合わないは、人によって大きく違います。自分に合う方法を探す中で出会った小さな気づきが、攻略のカギになるのかもしれません。
「1mmでも生きやすい」を一緒に探求していきましょう。

